コーカサス 国際関係の十字路 廣瀬陽子

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複雑過ぎる地域関係。すごくまとまってると思う、これ一冊あればコーカサスの基本がわかっちゃう。コーカサスの国内外関係を知りたい人のための一冊必須本かも!?


もっと早くこういう面白さを知りたかったな。大学入る前に出会っていたかった。こういうの知ってたら先生を選んで大学に入っていたことだろうに。

  • 少なくとも旧ソ連地域の民族紛争の発端は、国境と民族分布が一致していないことが、民族のエスニック・アイデンティティを刺激し、民族主義に駆り立て、他民族の支配から逃れて独立しようという動きへと発展している(スターリンがしこりを残すために民族移動させた説も)
  • プーチンは、9.11以降「チェチェン人はテロリストである」というレトリックを用いて、「世界的なテロとの戦い」という大義名分を得た(欧米各国からの反論が消える)
  • ロシアにとって、南コーカサスは「近い外国」であって、あらゆる面に関与するが、それは第三者として。北コーカサスは、内情問題であって当事者となる(内政不干渉の原則が共有される⇒批判を受けにくい)
  • アルメニアの親露方針=ナゴルノ・カラバフ紛争でロシアから支援を受けていること、資源を持たないことから。さらに、アゼルを支援するトルコとは「アルメニア大虐殺」と相まって中が悪い(両脇との関係が悪いからロシア、イランからの資源輸入が必須⇒現在、紛争勃発で更に補給路が減ってきている)
  • 「色革命」が「民主主義」の旗印の下で遂行されたとしても、必ずしも民主化や市民の自由の拡大に繋がったわけではない(反露・親欧米路線で反感を買って「前の方がマシだった」。革命を利用して行政府を手中に収めるため=サーカシュビリ独裁)
  • アゼルバイジャンは、民主主義に懐疑的。「色革命」後の混乱を見て、「やはり民主化は混乱を招く(エルチベイ大統領の時代の失敗)」と再認識し、たとえ権威主義体制であろうと、安定こそがもっともだ⇒ヘイダル・アリエフ大統領のカリスマ性

コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A)

コーカサス国際関係の十字路 (集英社新書 452A)