チャイルド44 上下 トム・ロブ・スミス

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グラーク57というのが新刊で出されていたので、まずは前作からとって見ました。

旧ソ連の暗澹とした粛清の中で誰も信用できない、通常なら信頼すべき国家が通常の判断をしない状況下で、真実の犯罪を突き止める国家保安省員のお話。



すべてが暗澹としている。サスペンスなのだけれど、主旨は批判すべきソ連の悪質な体質を暴露するもの。個人的にはソルジェニーツィンとかの方が現実に近くて率直に心を打つものがあるのですが、これは英国の若い人がただただソ連批判をしたいという想いを出来る限り一般大衆にわかってもらうために至極安易にそれらを描写しているような感じを受けてしまって、何処か一方的なものを感じざるを得ません。



文学じゃなくて、エンタテイメントな小説ですね。ハリウッド映画の脚本みたいな。それだけに、のめり込んで読んでしまうのですけどね。


チャイルド44 上巻 (新潮文庫)

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)