スギハラ・ダラー 手嶋龍一

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手嶋龍一に「杉原千畝」と餌をぶら下げられては読まないわけにはいきませんね。


インテリジェンス小説ですが、物語としてはあまり面白くはありませんでした。幾つかのインテリジェンスを描こうと無理くり肉付けしたような感が捨て切れません。


尻切れトンボのインテリジェンスの描き方になってしまっていて少し残念。



嘘を真実のように、真実を嘘のように描き、未来を描くってインテリジェンス小説の醍醐味は味わえますけどね。


ナオミ・クラインのショック・ドクトリンを記すようなショックに乗じて、マーカンタイル取引所での先物取引「S&P500」を売買する。そのショックを見出す、スギハラ・サバイバルのインテリジェンスが一本道となって、最後に未来への啓発を描いてるんですね。



これだけ餌をぶら下げられたら読むしかありません。


でも、彼の作品は「外交敗戦」が一番だと思う。


スギハラ・ダラー

スギハラ・ダラー