シベリア鉄道3日目(〜ウランウデ〜イルクーツク)

2011/01/18(tue)


車内での3泊目が終わりました。
うとうとしている間に、チタ2駅を真夜中に通過。この辺りから、ウラジオストクから来るロシア号と一緒のシベリア鉄道の本線となります。

f:id:shiomi31:20110116115437j:image
テーブルは下段の人がほぼ独占
f:id:shiomi31:20110117155548j:image
綺麗な車内です。車掌さんが始終掃除してる。


朝方は天気が悪く、曇っていたものの11:08ウランウデに到着する頃には綺麗に晴れてきました。
ウランウデは、工場がたくさんある街です。高い煙突からもうもうと煙が出てロシアに入って初めて近代的な街の雰囲気がします。
建物はロシア風な感じもしますが、まだ中国・モンゴル風な雑多とした雰囲気があります。


f:id:shiomi31:20110118121655j:image
ウランウデ駅
f:id:shiomi31:20110118121711j:image
ダイヤモンドダストが舞い散る
f:id:shiomi31:20110118121721j:image
貨物列車がたくさん
f:id:shiomi31:20110118121820j:image


25分の停車なので、外に出て見ると、鼻の中がすぐパリパリになる。ダイヤモンドダストがちらちらと舞う寒さですが、ちゃんと着込めば太陽があるので問題ないくらい。
あまりにも天気が良くて冬の澄んだ空気感が気持ちがいい。
ここで中国・モンゴル系の乗客がどっさり降りていく。列車の後方はモスクワまで行かない客車で、前方のモスクワ行きの客車はガラガラのような雰囲気です。


ウランウデを発車。
キロポストは、5660km.昨日ザバイカリスクを出てから1000km進んだことになります。この辺りからスピードも上がり始め、さくさくと行きます。

f:id:shiomi31:20110118125856j:image
ダーチャが増える


次第に、ダーチャが目立ち始め、ロシアの街が増えてきます。
16:00頃スリジャンカ着。停車時間は2分程ですが、ここはおばちゃん達がオームリという魚の燻製を売っていて、車両の入り口へ押しかけてきます。
買おうかと思ったのですが、未だ食欲がいまいちなのと、どうも気分が下へ向いていて部屋から出たくなく、スルーしてしまう。後から思えば、買っておいて後で食べれば良かったのですが・・・


f:id:shiomi31:20110118144501j:image
全面結氷
f:id:shiomi31:20110118164412j:image
対岸の岸は崖
f:id:shiomi31:20110118164428j:image
一面真っ白


そして、シベリア鉄道の見所である、バイカル湖を横切ります。
2時間ほどバイカル湖に沿って列車は走ります。全面結氷しているので、真っ白な景色しかありませんが、とにかくここはでかい。普通に車が湖面を走ってる。
釣りをしてる人も結構居ます。この寒い中、よくやるものです、氷が張ったほうが沖に行けるから釣れるのかな?
イルクーツクに近づくと岸が高い崖になってて綺麗な景色になります、なんだかんだでバイカル湖って水深が1600m近くあるっていう恐ろしい内陸湖なんだよね。世界中の淡水の20%をしめるって言うのだから驚きだ。

f:id:shiomi31:20110118175143j:image
筋雲がめっちゃ綺麗でした


次第に陽が沈み始め、くねくねと林の中を昇っていく。
陽が沈んだ頃、アンガラ川に沿うように列車は走る。アンガラ川からはもうもうと白煙が立ち込める。川は凍っていないのに気温は-25度という気温差が川全体が温泉のような煙を出す要因らしい。煙が立ち込め対岸のイルクーツクの灯りがちらちら見えてなんとも幻想的です。
列車はスピードを落とし、この景色がやっと一つ目の目的地に着くっていう感慨深い気持ちを一層深いものにしてくれます。
東欧はブルガリアのヴェリコタルノボへ辿り着いたときと同じような印象でした。


さて、イルクーツクには定刻18:10着です。
イルクーツク駅は大混雑。久しぶりに人の生活感を感じる雑踏でした。
構内で警官によるパスポートチェックもありました、何やら文句を言われましたが言葉がわからないので、何なんだと押し問答してると何もなく開放です。


駅内や外は売店だらけ、気温は-21度。
何処か貧しさと雑然さ。今の一瞬を生きている顔がある。それが旧ソ連圏の匂い。
駅を出てのタクシーの誘いは旧ソ連圏そのものだ。これが好き。
300ルーブル(1000円)は高いけど、仕方がないだろう。この寒さと暗さでは素人が歩くのは危険だろう。


ホテルまでは2kmくらいで10分。
イルクーツクまではほぼ中古の日本車ばかりで、このタクシーも右ハンドルのカムリだった。


イルクーツクホテルは、日本語表示が多い、受付もああいさつ程度の日本語をしゃべる。
結構日本人旅行客が多いのだろう、1万という値段相応ではないが最低限は揃っている。
東欧なら3000円レベルと言った所。部屋からの景色はアンガラ川が望め、朝が楽しみだ。


食料を買うため外に繰り出す、-24度の表示があるとおり寒いけど、動いていればなんとかなる。
レストランを探すもイタリアンとか寿司はあるのにロシアっぽいのがなく、1時間くらい歩いてさすがに寒さに危険を感じ、売店で1Lのバアルティカとピロシキを買って終了。
何かと行動を起こして街を歩いたりしていると気持ちが上を向く。ようやく初めてこの旅で一息付く事が出来た。


f:id:shiomi31:20110118203656j:image
夜中の劇場 灯りの色が寒い
f:id:shiomi31:20110118204030j:image
-24℃
f:id:shiomi31:20110118210834j:image
バルティカ3の1L缶 でかい


さて、イルクーツクに着いたところで列車に乗っている間は必要以上に不安が膨らみ気持ちが沈む傾向にありました。後になれば良い思い出なのですが、いかんせんそのときは、気持ちが沈みっぱなしでした。
イルクーツクに着く直前に書き残した走り書きを。

17:00を過ぎて薄暗くなってきました。針葉樹林の林に、濃い青に白みが掛かった空に、満月が昇ります。
不思議と幻想的な寂しさを感じる極寒の景色です。
未だ、考えるのは・・・
後、何回列車で寝たらモスクワだろうか。
後、何回ご飯を食べなきゃモスクワに着けないのだろうか。
後、何回トイレに行かなきゃ行けないのか。
後、何回分、iPodの充電が持つだろうか。
後、何冊本を読んで暇を潰せば良いだろうか。
後、何を考えることがあるだろうか。
そのようなことばかりが頭に思う浮かびます。
不安とどうしようもなく不安定になりそうな精神状態を保つための手段を考えてしまいます。
とはいっても、今日で4日目。もう列車で3泊もしているのです、思い返せば、
北京駅の雑踏
北東中国の何もない恐ろしい夜の冷気
ロ中国境越えの夜
ザバイカリスクの晴天の寒さとバラック
ウランウデの濛々と煙を上げる工場
バイカルの全面結氷
いろいろあったものです。それがもう良い思い出として、自身の人生の糧として
埋め込めまれているのです。それだけで旅立った甲斐というものを感じさせられます。
ああ、もう後一時間ですね、車掌のおばさんがシーツを畳めと催促です。
バタバタと掃除が始まりました。