サリタシュからカシュガルへ(イルケシュタム越え)

2011.10.11(Tue)
1晩しんと静まり返った夜を明し、時たま通るトラックの音で目を覚ます。
早朝は、若干雪が積もっていて、高地らしくシンと空気が底に沈んだような静けさで、遠くの山々までが見渡せてなんとも気分の乗る朝でした。
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早朝のサリタシュ


今日は、イルケシュタムを越えてカシュガルへ行く。昨日この村で出会った日本人と韓国人の長旅パッカーと一緒に越える予定となっていた。
7:30に集合ということになっていたが、なかなか準備が揃わないらしく宿を出たのは8:30を過ぎ、陽はとうに高くなってしまっていた。
6:00頃は中国行きのトラックが結構走っていたのですが、9:00ともなると少なくなり、ヒッチを試みても国境を越える車にはなかなか出会えず。
最初に出会った、地元のじいさんが900somで行くとのことで交渉開始。同行の日本人は1人250somを割るまで粘るとのことだけど、自分と韓国人は別に1人300som(450円)で問題なかったので、300somで決着させる。


このじいさんの車は600ccの軽。それにじいさんが3人、大荷物のパッカー3人で押し詰めで出発。
じいさん達は完全にお遊び気分で特に用事もないから着いていくという感じ。
こんなんで峠が超えられるのか?と心配したけど、サリタシュから先は峠といっても殆ど平坦な1本道。右に雪を抱えた山脈。左は砂漠。なんともアメイジングな景色です。
緩やかな坂でもやっとで登っていくような車でしたが、そんな車でも1時間半ほどで国境着。
国境前には、何回かパスポートチェックの検問があって、ここはパソコンはなく手書きで番号を控えていくものでした。
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イルケシュタム国境のタジク側食堂と峠越えした軽


イルケシュタムの国境は、峠というよりは渓谷。岩山の合間にトレーラーハウスが集まっている村。話に聞いていたほど荒廃している雰囲気もなく、きれいだった。中国資本で道路も新しくなってるからだいぶ改善したのでしょうか。
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タジク側国境


キルギス出国は何故か自分だけ時間が掛かる。他の国境でも時間が掛かることが多い、世界一周してる人たちよりも掛かるのは何故なのか?イランとロシアビザが引っかかるのか。。。
なんだかんだで、自分だけで30分近く掛かったと思う。


ここからは、近くの役人らしき人がヒッチトラックを案内しようとしてくれるが、たまたまタジク人と一緒だったのでその人がタジクのドライバーを斡旋してくれた。
たぶん、役人に従うと賄賂を要求されるんだと思う。
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乗せてもらったタジクの輸送トラック(こんなでっかいトラック初めて)
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トラックのタジク人運ちゃん
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緩衝地帯


でかいトラックに乗って、緩衝地帯を5kmほど進む。このドライバーは、タジク→中国→アフガン→タジクと回ってるらしい。噂通りタジクの親切過ぎるほど親切だった。


国境越えは、運悪くお昼休憩時(12:00〜14:00)に当たってしまい、2時間も待ちぼうけ。
峠の高台で渓谷を眺めつつ、時間つぶし。同行者は世界情勢などを英語で討論してるけど、英語力がないため、なかなか入っていけず。しゃべってることは聞き取れるけど、自分の意見をまとめられるほどの語学力がなく、無念。
こういう機会が最近多いけど、自分の言いたいことを伝えるっていうのは、自分の知っている語集で如何に簡単に文章が作れるかということなんだと気付く。少ない語集でも言い回しで幾らでも相手に意思を伝えられるってことに気付いた時間でした。
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中国国境前でトラックが並ぶ


14:00を過ぎてようやく中国側の国境が開く。
地方の中国国境の役人というと厳しいイメージだったけど、ここの役人は皆若くあどけない。概してフレンドリーだったことに面を食らうほど。
入国は比較的スムーズで、入国カードはスキャンする機械があるほどハイテク。スキャンの精度が悪くて全然違うものが出てきたりもしたけど。
これだけ精度が悪くて、チェックも甘いといくらでも不正に入国出来てしまうんじゃないかと思う。
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中国側国境
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中国国境からイルケシュタムの渓谷を臨む



国境からカシュガルまでは、運良くオシュからの国際バスと一緒になり、乗せてもらうことになった。
交渉は、150元から始まり50元(750円)。オシュからは80$くらいするはずなので安い。オシュからのウズベク人一向は安すぎると文句を言っていたようだけど。
乗合タクシーの便乗者を集めようとするとかなり時間が掛かりそうな感じでした。
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国境からカシュガルまでのバス(オシュからのバスに便乗)
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内装は2段ベットでウズベク人のおばちゃんばかり


15:30頃出発。
ここからは最悪な道のりです。岩山と川だけの荒廃しきった台地に未舗装の穴ぼこだらけのどうしようもない道が延々とカシュガル近くまでの200?近く続く。
車内は2段ベットになっていてお世辞にもきれいとは言い難い毛布が敷かれている。窓際に居ると隙間風が入って強烈に寒い。始終、ベットの上でバウンドし続ける。もう止めてくれと何度言いたったことか、この先のKKHよりも乗り心地は遥かに悪かったように思う。
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ここのラグマンがうまかったな〜


ウルグチャットでパスポートチェックがあり、20:30頃、夕食タイム。
10元(140円)の極大ラグマンがおいしいこと。暗く、お店のライトだけが目立つ佇まいで、軒先で麺を打つ。シルクロードの食堂という雰囲気がぷんぷん匂ってくるような場所でした。
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真夜中に到着したカシュガルのバスターミナル


カシュガルに着いたのは23:00過ぎ。
時差が2時間あることを考えれば、国境から10時間以上掛かったことになる。
到着したところにパキスタン系の安いホテルがあったのですが、宮本輝氏が泊まった色満賓館に泊まりたかったのでここから真夜中の2kmくらいを歩く。静かになった街を歩くのは悪くはなかったけど、この長時間移動の後には堪えました。


ホテルに着いたのが、12:00.北京時間で2:00でした。
長い長い国境越え。短い旅が長い旅だったと思えるような1日でした。