タシュクルガンからスストへ(クンジュラーフ峠越え)

2012/10/13(Thu)


昨夜飲んだ1Lのビールで夜中は頭痛に悩まされたが、朝起きたら治っていた。高度の関係で酔いの回りは早いが抜けも早いようだ。
北京時間の8:00ではまだ辺りは真っ暗。レセプションも寝ていて中々起きてこなかった。


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パキスタンへの道


さて、今回の旅で一番焦ったのはここかもしれない。
クンジュラーフ越えの交通手段が当日まで全くはっきりしなかったのだ。一度わかってしまえばなんてことはないのだけど、この交通手段は結構流動的でどの情報を見てもはっきりと書いてあるものがなかった。
パキスタンの土砂崩れで直通バスがなくなったのも一つの原因だ。


街の人に聞いたところ、情報はいろいろ。一番確実そうだったのは、カスタム10:30発というもの。
交通賓館の人は、ローカルバスターミナルから出るとのことだったが、ローカルバスターミナルの人に聞くとカスタムからと言われた。
ローカルターミナル経由という情報もあったのだけど。。。


道を訊く間にも時間がどんどん過ぎて、それなりに焦る。タクシーが全然走っていなく、そもそも交通量が少なく助けを求めようにも手段がなく、それほど遠くないはずのカスタムまで歩くことにした。
しかし、カスタムまでの道のりが一本道で延々と何のゲートも見えず、近いというはずだけど、もしかして場所が変わったのかも?とか心配になり、結構歩いたところで通りかかったタクシーを捕まえると、なんと200mも走らないでカスタムだと言われ、きちんと5元を払わされる。


ここで安心と思いきや、カスタムと言われた場所は車で国境越えをする場合に必要な手続きをする通関所みたいなところで、ゲートではないと言わる。
辺りの人に訊きまくっても全く意思疎通ができない。1,2,3の英語も通じず、やっとのことで峠までの往復なら1人100元だという人を捕まえたが、パキスタンまではビザがないとかで行けないとのこと。

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まだ営業していない新ゲート


単に、バスの乗り場を教えてくれれば良いのに、物わかりの悪い人ばかり。普通、言葉が通じなくてもなんとなく旅人のやりたいことは現地人もわかってくれるのに、ここの人たちは全くもって伝わらなかった。
仕方なく、歩いて先を行って、国境ゲートらしきでかい建物を発見しても、なにやらまだ完成されていないようでがらんとしている。
そこでかなり焦りつつ、街まで戻って再度挑戦しようと思って戻り始めたところ、最初のタクシーの乗せてもらった200mの間に、現行の国境ゲートが存在した。
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ここが営業中のゲート
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この中でチケットが買える


あそこでタクシーに乗せてもらっていなければ、普通に通りかかったであろうに。カスタムは、道にあるわけではなくて、道脇の建物になっている。普通に知らなければゲートなしで入国出来てしまいそうな感じである。
とりあえず、一安心。

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思ったより高い


オープンは、11:00〜14:00、16:00〜18:00とあり、今回開いたのは12:00過ぎ。
なんとも朝早くから焦ったのに、カスタムはのんびりしたものだった。
カスタムの中にバスチケット売り場があり、225元(3150円)
税関やらパスポートチェックものんびりで20人くらいしか居ないのに1時間半くらいかかり、出発したのは13:00時過ぎ。

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NATOCOのバス
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徐々に高度を上げていく


NATOCOのミニバスは2台編成。トヨタの送迎バスだ。
クンジュラーフまでは、延々と一本道を徐々に登っていく。
両側を雪山に挟まれた高原。既に走っているところが高いせいか、高いはずの山並みも低く感じる。
人っ子一人居ないものだと思っていだけど、タジク人の民家がそこかしこにある。文明から切り離されたといった感じ、ここだけは中国からの干渉を受けていない印象を感じます、単に漢人に追いやられてこんな辺境に住んでいるだけなのかもしれないけれど。高山

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山が低く見え、空が近い
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ちらほらと近くにも雪が積もる


徐々に高くなる標高に、高山病が微妙に心配になり、息苦しいような気もしたけれど、なんともなく、峠まで到着。
120kmを2時間。標高は4730m。
気温は0度近辺。水辺には氷が張り、雲一つない明るすぎる空に白い山、空が近く感じる。
峠には、立派なゲートがあるけれど、それだけ。石碑は見つけられず。

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国境


峠を越え、パキスタンに入ると道は砂利道になり、一気につづら折りの坂を下る。
悪路と埃。下るだけなのになかなか前に進まない。
山も険しさを増し、切り立った絶壁の合間を進む。

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国境を越えると一気に下る


途中、クンジュラーフ国立公園のゲートで8$を徴収される。
この辺りまで来ると木々が多くなり、黄色く紅葉した景色がすばらしい。
車の中が埃だらけになりながら、もう少しでスストだ!というところでトンネル工事。
いたる所で工事をしているけど、ここの工事では1時間半も足止めを食らう。

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国立公園に入ると紅葉が綺麗
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イメージしてた乾燥して誇りっぽいパキスタンではない
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トンネル工事で足止め


陽が陰り始め、道脇を流れる川はいつの間にか激流となり、ガードレールなんていうものはない、川まで100m以上はある、上下の絶壁の合間をスピードを落とさず走っていく。
落石もあちらこちらにある。
運転手の腕を信じるしかないのだけど、ずっとどきどきしっぱなしであった。


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山に囲まれた道を走る


絶壁の間からたまに見える夕日を浴びた岩山。皆6000〜7000m級なのだろう。
ジェットコースターみたいなバスに、この危険だけど、すばらしい絶景に感動しながら、スストに着いたのは16:30を過ぎていた。
それほど掛からないとみていたのに、6時間半以上掛かってしまった。

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スストの国境(チェックポイント)


一本道に商店が並び、背の低い家が密集する。国境のためだけにある街といった印象だ。
ここでパスポートチェックを行う。現地でもビザが取れそうな感じだった。


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道の両脇に商店が並ぶススト
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着いたときにはもう薄暗かった


このままパスーまで行ってしまう予定だったけど、乗合タクシーは出払ってしまったようでスストに一泊することになった。