書評

リピート 乾くるみ

>タイムトラベルものの恋愛小説だと思って読んだんだけど、完全なSFものでした。 ちょっとラストが残酷すぎてしっくりこない。 タイムトラベルものの最高峰は、高畑京一郎さんのタイムスリープだと思っているのでやはり理論詰めに甘さが残るような印象を感じ…

地球を斬る 佐藤優

>なんとなくテロップが気になって手にとってしまったけど、内容は他の本と同じような繰り返し。佐藤さんの手の内というか、書き物にするするレパートリーは殆ど出尽くしたの?! 今回のは、イスラエルを擁護する話が多かったようだ。 田中角栄型政治の終焉。強…

チャイルド44 上下 トム・ロブ・スミス

>グラーク57というのが新刊で出されていたので、まずは前作からとって見ました。旧ソ連の暗澹とした粛清の中で誰も信用できない、通常なら信頼すべき国家が通常の判断をしない状況下で、真実の犯罪を突き止める国家保安省員のお話。 すべてが暗澹としてい…

焚火の終わり 上下 宮本輝

>めずらしく輝さんにしてはくどいお話だったかもしれない。でも最後まで一気に読めちゃうところがすごい。 風呂の中で二日間で読んでしまいました。 現実の大阪と理想の園である海辺の家を行ったり来たりしながらオイヂュプス的な愛を確かめ合う。あまりこう…

終末のフール 伊坂幸太郎

>ユーモアなエンターテイメントなマンガみたいな小説。 「太陽のシール」「冬眠のガール」に出てくる女性が素敵です。 この二話だけ飛びぬけてる。 終末のフール (集英社文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/06/26メディア: 文庫購入:…

重力ピエロ 伊坂幸太郎

>お勧めの本は?と訊いて、伊坂幸太郎を紹介されました。 まずは、重力ピエロから。 久しぶりに推理小説を読んだ、という感触です。ユーモアの作家さんなのでしょうか。登場人物に個性があります。 最初のうちは、あたふたと安定感のない、ちょっと下手をす…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里

>米原さん、文章うまいなぁと思います。オリガモリゾウナの反語法を読んですきになりました。 これは、自身のチェコ・ソビエト学校で過ごした時の友達とその後大人になったときに再会を描くエッセイ。こんなに読ませる力のあるエッセイは久しぶりです。エッ…

お勧め本と言われたら?

>・・・と言う事で少し書いてみよう。 「ジェニィ」ポール・ギャリコ 猫好きなら・・・心癒される一冊 「錦繍」宮本輝 好きな作家さんと聞かれれば宮本輝です。うまくて大人な恋愛小説。 「ドナウの旅人」宮本輝 共産時代の東欧を半年くらいで旅するお話。ひ…

愉楽の園 宮本輝

>久しぶりに輝さん。 読んでて心地が良い。何か河に浮かぶ舟に乗っているような感覚で読んでしまう。ひとの奥底に潜んでいる情緒・概念が色んな場所で錯誤して流れて行く、バンコクという日本から街での少しだけ現実から離れた場所で愉楽の哀愁が漂います。…

レインツリーの国 有川浩

>メールから始まる恋。 考えされられるお話です。お付き合いの始めの微妙な間とすれ違いを描いてます。自分だったらこうするだろう・・・って考える間が絶妙。そんな中に、ここは自分の方が良い言葉が見つかったなとか、やられた!!そんな切り替えし方があっ…

天皇論 小林よしのり

>売れているらしいですね。 日本人だったら知っておきたいことが詰まっているのかな。日本の宗教は?と訊かれて、天皇と応えるのがベストとは言わないけれど、当たらずしも遠からず。天皇は宗教でもなんでもないけれど、天皇を取り巻く空気感、権威のもとに…

忘れ雪 新堂冬樹

>経済犯罪小説+恋愛。 前半部分の恋のお話は、回顧的なほんわかした感覚が結構好きかも。 手紙とか回想部分も宮本輝の匂いがちらほら。 最後の方はだんだん推理小説になってきて、がらりと読んでる印象が変わってきます。結構な長編なのだけど、夜遅くまで一…

、滅びゆく世界の果てまで。 萬屋直人

>旅とかいう文字が題名に入っていたから手にとって見ました。しかし、いかんせん面白くない。昔は、こういうライトノベルズ好きで読んでたけれど、なんだかくさ過ぎて。 旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。 (電撃文庫)作者: 萬屋直人,方密出版社/メーカー…

海と毒薬 遠藤周作

>白い人のほうがガツンと食らわされたかも。自分が読むとあまりキリストの匂いは感じない。 人間の悪ですか。うまくまとまってるよね、文章がちゃんとしてるというか言いたいことが詰まってるというか。 今のライト系の小説ばかり読んでるからかな。そう感じ…

シャングリ・ラ 池上永一

>久しぶりに身のあるSF読みたくて、でも上下巻で1KPもあるので手を付けるのが遅れてました。読み始めてみれば、寝不足になる面白さ。結局下巻は二日で読んでしまった。 2050年の炭素経済社会が舞台。東京をジャングル化して高層建造物に移り住む。そこで選…

コーカサス 国際関係の十字路 廣瀬陽子

>複雑過ぎる地域関係。すごくまとまってると思う、これ一冊あればコーカサスの基本がわかっちゃう。コーカサスの国内外関係を知りたい人のための一冊必須本かも!? もっと早くこういう面白さを知りたかったな。大学入る前に出会っていたかった。こういうの知…

絶対最強の恋のうた 中村航

恋愛小説ですね。学生って良いな。あぁ、戻りたい。 キャッチフレーズ的な文章が盛りだくさん。ガツンと食らわされますね。 僕は彼女に何かを言おうと思っていた。何か大切で、きらきらした言葉を。正直で、丁寧で、一歩先に踏み込むような言葉を。 それは、…

フィンランド 豊かさのメソッド 堀内都喜子

これ面白い!!勝間和代とかの**術とか%%法とかを読むよりも何歩か結論から遠ざかった形である実例を読むほうが考えさせられて身になるんじゃなかろうか。 ヘルシンキには、一泊だけ滞在したことがあるけれど、熱をだしてしまい苦しんだ思い出があります、でも…

人間の運命 ショーロホフ

ロシア人のことがわかる小説・・・ということで佐藤優推奨本になってました。 人間の葛藤というか本質・気質、その国のお国柄、染み付いた本性が随筆調の文章から染み出る。ロシア文学ってみんなそんな感じがします。それで居て、まとまってて最後まで読み終…

シルクロードの滑走路 黒木亮

この題名と舞台を見たら、読まなくてはいけません(^^; キルギスでボーイングの売込みをする青年商社マンが苦戦するお話。 キルギスと少しだけチェコ。適度に東欧革命が散りばめられてる経済小説。小説として読んでしまうとイマイチ物足りなさを感じてしまう…

マルクスの逆襲 三田誠広

最近、マルクス流行ってますね。 全共闘運動、大学闘争を背景にマルクス主義の潮流の流れを一通りサクサクと読めました。 資本主義、自由主義を続ける限り、貧富の格差は開く一方で、最終的には大貧民達が暴動を起こし、資本主義は崩壊すると予測している。(…

バルタザールの遍歴 佐藤亜紀

正直よくわからない小説でした、読む度に眠くなり。物語もあまり理解してないです。 淡々と話が進んでいって、それが雑多で何を言ってるか良くわからない。オペラの転落劇の様。でも、何でか最後まで読んでしまった。 たぶん、読解力の無さと波長が合わなか…

株式会社ロシア

ユーコス事件を中心に、現代ロシア経済状況を書いた本。中古で買って一年半くらい前の本なんだけど、リーマンクライシスがあってからの激動部分が起こる前の上げ潮経済を描いている。 プーチンが「強いロシア」を目指して、どんどん民間企業の国営化を進める…

なんとなくな日々 川上弘美

なんとなくな日々なのである。 なんとなく、思いに耽り、佇み、今ってなんなんだろう、これで良いのか、こんなものなのか、そんなことを思い。なんとなく、歩いて、なんとなく、店に入って、ビールを一杯。 ゆるゆるの生活観、ちょっとそれに疑問を抱きつつ…

自分へのごほうび 住吉美紀

NHKのアナウンサー住吉美紀さんの初エッセイ。数年前に彼女が中欧紀行のナビーゲータで現地から中継してて、この人すごいと思ったのが出会い。ちょくちょく彼女が出る番組は見てたところ。 あぁ、インテリ女子の典型だなって思っちゃうとそこまでなんだけど…

田母神塾 田母神敏雄

最近この人かなり本出してるよね。気になって読んでみたんだけど、ちょ〜っと偏り過ぎかなと。本を売るためには仕方ないのかもしれないけど、一側面からの記述が多過ぎ。 同じ官僚でも右寄りでも東郷和彦さんとは全然違います、学者にはなれませんね、この人…

りんごの木 ゴールズワージー

「差別せずとも、区別せず」 綺麗なお話として欧米人には読まれているのだろうけど、最後の罪についての反省がないままに終わってしまう。英国人の優越を物語った小説。はっきりと区別はせず少し外から眺める形でここまでだったら許せるだろう的な側面と確信…

国家と人生 佐藤優×竹村健一

佐藤さんの本を何冊か読んでるとそろそろ似たような話が多くて、云いたいことというのが見えてきたかもしれない。 差別するべからず、されど区別せよ。 共産主義体制=「お金がモノに変わらない」 権威と権力を分ける日本の伝統 融通性、寛容の精神の調和 国…

そうだったのか!現代史1・2 池上彰

よくまとまっていて、再読するにも現代史を知る上でも確認の上でも良い。 だけど、二冊読むのに、3カ月くらい掛かってたりするのに、あまり頭に入っていなかったりもする。 北朝鮮とかイスラエルがどんな経緯で今の情勢にあるのか。 中国、ロシアの革命と抑…

歴史と外交 東郷和彦

前からこの人の本読みたかった。佐藤優の上司?欧亜局長だった人。 読みやすくてさくさくいけました。 中国が靖国問題を表ざたにしていない今こそ、内部矛盾を解決し対外的に日本の意思表示をするべき。対外的にも内部的にも総合的に参拝できる靖国つくりを…